torinikugobouのブログ

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業火の向日葵

仏民家の屋根裏からカラバッジョ作品か、推定価値は150億円 | ロイター

4月12日、フランス南西部の民家の屋根裏で2年前に見つかった絵画が、バロック絵画の先駆者となったイタリア人画家カラバッジョの作品である可能性が高いと鑑定された。民間の仏専門家が12日に明らかにした(2016年 ロイター/Charles Platiau)

 この記事を見つけて、本当にあるんだ、こんなこと! と、すごく嬉しくなった。

 

もう一年前になる。ゴッホの絵が登場するらしいから、観ておこうかな程度の気持ちで訪れた映画館、買ったチケットは「名探偵コナン 業火の向日葵」

徳島県にある大塚国際美術館をたずねた際に観た、『ゴッホの幻の「ヒマワリ」』から、興味を持った映画だ。

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(注 こちらは、当時の絵の再現で作成された焼き物「陶板画」)

 

あまり頻繁に見るアニメでは無かったけれど、実在した絵をどんな風に扱うのかとても興味をそそられた。

そして、すっかりはまり込んだ。

芸術を心から大切に想う気持ちの、譲れなさの方向の違い。

愛する人への想いの扱い、それぞれ。

登場する各施設の様子や働く人々の描かれ方など「あっ、すごい」と思った。

 

内容に、「ん?」と思った箇所もある。が、物語として納得できた。

犯人については……通常知っているコナンの事件からすると、これだけ大きな出来事にその理由? と少し弱く感じるかもしれない。しかし、現実に起こる事件と理由を思い返したとき、こういうことは確かにあるだろうと思った。

肥大化した自我は自分に都合のいい事実だけを真実として取り出し、選択する。

 

人の心というものがちりばめられ、過去を想い未来を願う気持ちが繰り返される。

彼らの想いを想像し、何度見ても涙ぐんでしまう。

とても好きな映画です。

 

※この先映画の内容に触れています※

 

 

 

主役はコナンでもキッドでもなく、「芦屋の向日葵」だったと思う。

または、ゴッホという作家の存在か。

冒頭でリンクした記事は、映画での「向日葵発見の出来事」とよく似ている。

そして、劇中のシーンでその際亡くなってしまう兄の姿は、以前何かで読んだゴッホの姿と重なる。

もしかしたら、ゴッホは自殺ではないのかもしれない。誰かをかばって、自殺に見せかけて亡くなったのだと。

「自分より弱いもの、または自分の愛するものを守ろうとする気持ち」

 

空襲で「芦屋の向日葵」を護った大工は自分の命を引き換えにした。

芸術という過去から未来への贈り物を世界の人々に受け継ぐため、業火から救い出した後に命を落とした。

犯人は、自分の欲を満たすためだけに自分以外の人の命をも引き換えにしようとした。

自分の思う姿だけが正しく、認識したくないものは排除すべしと、絵を美術館ごと業火に投じた。 

「相手を尊重し生かす愛なのか、ひとりよがりですべてを破壊する歪んだ愛なのか」

 

日本に本物の芸術を、愛することのできる理想の場所をと買い求められた「向日葵」

それを戦争という時代に空襲という手段で人々も、想いも、すべて焼き払ってしまった国。

映画では、絵を守るために行動するキッドを、その国の市警警部が狙う。

相手をテロリストだと決めつけ、発砲する。

「目的のためなら手段を選ばない人殺し……いや、テロリスト」そう警部は発言したが、では、彼の国がいつかおこなった空襲は違うのか? どこが違うのだ?

ずっと映画を観ていた観客は、彼の信じる正しさに、矛盾を感じたと思う。

 

歴史は繰り返す。でも、映画では最後互いに理解を示し、銃を下ろす。

できるのだと思う。

「そうあって欲しいと思う、人類への希望」

 

ゴッホ、そして向日葵をめぐり描かれたのは「正義」を見つめなおすきっかけ。

そして、ひととしての愛を信じたいという願い。

とても誠実な物語だったと思う。

 

名探偵コナン 業火の向日葵 (小学館ジュニア文庫)

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お題「何回も見た映画」